化粧品の「本当のところ」
ボタニカルシャンプーとは?髪と地肌にいい?【本音編】
ボタニカルシャンプーとは?
最近よく聞く「ボタニカルシャンプー」。
ボタニカルシャンプーとは、そもそも「ボタニカル」とは何でしょう?
「ボタニカル」とは「植物の、植物性の」などの意味であり、化粧品においては「植物性の」「植物由来の」といった意味で使われています。
よって「ボタニカルシャンプー」というと、単純に「植物性のシャンプー」「植物由来のシャンプー」ということになります。
一般的にシャンプーやトリートメントなどヘアケア化粧品には、洗浄や髪の仕上がりのために、界面活性剤やシリコーンなど、ケミカル(化学合成)的な成分が多用されます。
シリコーンを配合しない「ノンシリコーンシャンプー」が流行したのはこういった背景があり、より「ナチュラルなヘアケア化粧品です」というマーケティングが成功した事例ともいえますが、同じようにマーケティング視点で見ると「ボタニカルシャンプー」もその延長線上にあるものかもしれません。
要は「ケミカルな成分を減らしました」というものから「さらに植物でつくりました」にグレードアップされた、ということですね。
だけど野放しの「ボタニカル」
しかし「ボタニカル」という化粧品の訴求には現状、大きな問題があります。
それは「ボタニカル」という言葉が「植物性の、植物由来の」という意味しか持っていないため、かなり自由に使えてしまう、ということです。
簡単にいってしまうと、100%植物由来成分でつくったシャンプーでも、たっぷりシリコーンも配合して1%しか植物由来成分を入れていないシャンプーでも、どちらも「ボタニカルシャンプーです」と言えてしまえる、ということです。
日本の化粧品は「オーガニック」という言葉の使用についても曖昧ですが、「ボタニカル」は極端に言えば「植物由来の成分を配合していれば使える」という、さらに使いやすい言葉なので、「ボタニカルシャンプー」といわれても、実際には化粧品の成分がある程度わかる人でないと、本当にボタニカルシャンプーといえるシャンプーなのかは判断ができません。
ここではひとつだけ簡単な判断の仕方をお教えします。
「医薬部外品」と書かれていないシャンプーの全成分表を見て、上から5成分くらい以内に「~メチコン」という成分(この名称はシリコーンです)があったら、「ボタニカルシャンプーと謳っているけれど他のシャンプーと変わらない」と考えていいでしょう。
「ボタニカルシャンプーです」=「ナチュラル系です」とアピールしているのに、シリコーンをしっかりと配合している商品であれば、そのポリシーはあまり信用できません。(ただし、シリコーンは髪にも頭皮にも悪い成分なわけではないので、そこは誤解のないようにお願いします)
あと、本当に植物由来成分だけでシャンプーを作ろうとすると、非常にコストが高くなり、商品代としては通常のシャンプーの倍以上になってくる可能性が高いです。
他のシャンプーとさほど値段の変わらないボタニカルシャンプーは、あまり「ボタニカルしていない」可能性が高いと考えてよいでしょう。
ボタニカルシャンプーは髪と地肌にいいの?
ボタニカルシャンプーというけれど、結局、髪と地肌に良いの?というところがもっとも興味のあるところです。
ですがこの質問に対する答えは「わからない」です。
シャンプーの効果として、髪にとってよいことは、しっかりと成分がキューティクルを補修してくれて、なめらかな髪を保ってくれる、といったことでしょう。
一方、地肌によいことは、洗浄はしてくれるが脱脂しすぎない、界面活性剤などが残らない、ついでに美容成分がスキンケアをしてくれればなおよし、といったところです。
ここまで聞くと気づくかもしれませんが「ボタニカルシャンプーである」=「植物由来のシャンプーである」というだけで、この髪と地肌に対する好ましい効果を備えているシャンプーなのかどうかは、判断ができないのです。
ボタニカルシャンプーに興味のある方は、おそらく今使っているヘアケア化粧品に何かしら不満があって他のものを探しているのでしょうから、ボタニカルシャンプーは選択肢のひとつとしてあってよいと思います。
ただし「ボタニカルだから良い」のではなく「ボタニカルと標榜するからには、何かしら髪や地肌のことを気にしている商品なのだろう」という考え方で、ボタニカルシャンプーを手に取ることをおすすめします。
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